メガネ

7/7
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
  ********   呼び止められて自然に振り返ることが出来た   「なんですか?」   彼は驚いた顔をしていた   すると彼は笑いながら 『ビックリした』   と言った   私もビックリだ たった一言 [相手の目を見て話せ] その言葉だけで、振り返ることが出来るなんて、自分が信じられなかった   恥ずかしくなって視線を反らすと、また彼が笑いだした   『悪い悪い 俺が"目を見て話せ"っていったんだよなぁ』   そう笑いながら、私は黙っていた   『でさ、呼び止めた理由なんだけど……   なんで目が悪いわけでもないのにメガネしてるんだ?』   「!!」   ヤバイと思って、メガネを押さえながら視線を落とした   何も答えない私を不思議に思ったのか、顔を覗こうとしている   ‐何か言わなきゃ‐   そう思って口を開こうとした時   『真愛!』   昇降口から聞き慣れた声が聞こえてきた   「皆本さん!?」   私は助けが来たと思い、皆本さんに駆け寄った   「どうしたんですか?!」   『"どうしたんですか?!"じゃないだろ!! 社長に頼まれてスタ──ジウォ!!』   私は慌てて皆本さんの口を塞いだ   「わぁぁぁ!! 皆本さ~ん、行きましょうか!」   皆本さんの腕を掴みながら、その場から離れようとした   『笠部!?』   慌てた様子で私を呼び止める明堂くん   「明堂くんごめんなさい! 私はこれで!!」   その場から早く離れたくて、簡単に言ってその場をあとにした   後ろから視線を感じたが、そんな余裕は持てなかった     
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!