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呼び止められて自然に振り返ることが出来た
「なんですか?」
彼は驚いた顔をしていた
すると彼は笑いながら
『ビックリした』
と言った
私もビックリだ
たった一言
[相手の目を見て話せ]
その言葉だけで、振り返ることが出来るなんて、自分が信じられなかった
恥ずかしくなって視線を反らすと、また彼が笑いだした
『悪い悪い
俺が"目を見て話せ"っていったんだよなぁ』
そう笑いながら、私は黙っていた
『でさ、呼び止めた理由なんだけど……
なんで目が悪いわけでもないのにメガネしてるんだ?』
「!!」
ヤバイと思って、メガネを押さえながら視線を落とした
何も答えない私を不思議に思ったのか、顔を覗こうとしている
‐何か言わなきゃ‐
そう思って口を開こうとした時
『真愛!』
昇降口から聞き慣れた声が聞こえてきた
「皆本さん!?」
私は助けが来たと思い、皆本さんに駆け寄った
「どうしたんですか?!」
『"どうしたんですか?!"じゃないだろ!!
社長に頼まれてスタ──ジウォ!!』
私は慌てて皆本さんの口を塞いだ
「わぁぁぁ!!
皆本さ~ん、行きましょうか!」
皆本さんの腕を掴みながら、その場から離れようとした
『笠部!?』
慌てた様子で私を呼び止める明堂くん
「明堂くんごめんなさい!
私はこれで!!」
その場から早く離れたくて、簡単に言ってその場をあとにした
後ろから視線を感じたが、そんな余裕は持てなかった
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