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「満、どうかした?」
いつまでも何も言わずにぼーっとしている満を心配し、千広が声をかけた。
「ううん、なんでもないよ。ちょっと考え事してただけ。」
「そう?ならいいけど。」
千広は、満が何について考えいたのか判っているはずだが、それについて何も訊こうとはしなかった。
「さ、帰ろう。今日もたんまり宿題出たし。」
「本当だよー。あり得ないよね。何で数Ⅰと数Aの両方ともあんなに宿題出すかなー。」
満ははあとため息をついた。
「しかも満、数Ⅰの宿題で板書あたってなかった?」
「うん、あたってるよ。どうしよう、判んなかったら。」
「そのときは俺か孝之にでもメールすればいいんじゃない?」
「そうだね。いいよなー、2人とも数学できて。」
「俺も孝之も理系に進む予定だからね。」
「え、もう文理選択のこと考えてるの?」
満は目を丸くした。
「うん。こういうことはなるべく早い方がいいでしょ。」
「そっかー。僕、まだ何も考えてなかったなー。」
「心配しなくても満は文系に向いてるよ。古典とか歴史得意でしょ?」
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