報告書2:謎の集団について

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         * 2時間目終了後。 社会科教室で部長と呼ばれていた黒髪長身の女子生徒と黒髪ぱっつん、金髪の男子生徒の3名が廊下を疾走していた。 「くっそっ!よりによって授業中に出るなんて!」 部長が悪態を吐く。 「ワタル!ヤツは今どこにいるの!?」 すると、3人が耳につけているイヤホンのようなものからワタルの声が鳴った。 「先ほどから動いていません。同じ場所にいます。」 「よっしゃ。もうすぐ到着するから、ちゃっちゃと終わらせるよ!」 「はいっ!」 「ああ。」 階段を駆け上がり、3人は左折した。 「ヒロはここから先立ち入り禁止。」 「っ!でも…‥っ!」 「あややのことが心配なのは判るけど、」 部長が背後を振り返る。 「ここ、女子トイレだから。」 「…‥。」 部長の言葉に渋々といった感じで金髪はその場に留まった。 「ヒロはヤツがここから逃げ出さないように見張っといて。あやや、行くよ!」 「はいっ!」 「姫、お気を付けて。」 「ヒロさんも。」 部長と黒髪ぱっつんが女子トイレに駆けつけると、1人の女子生徒が倒れていた。 「ちいっ!被害者が出てたか。」 「というよりも、彼女が親元かもしれません。」 そう言って、黒髪ぱっつんは女子生徒の右腕に視線を落とした。 倒れている女子生徒は、上履きを洗うために袖をたくしあげていた。 そのため、そこにはっきり残っている何本ものリストカットの後が目に留まった。  
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