報告書2:謎の集団について

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  「…‥あやや、その子、まだ息がある?」 部長が低音で言った。 怒りを、押し殺しているのだ。 「はい。まだ抜かれてから時間が浅いようです。」 「ワタル、京子さんにこのことは?」 「伝えてある。」 京子とは、フルネームを鳴海京子(なるみきょうこ)と言い、卯辰高校の保健室に勤務している。 「了解。あやや、その子を京子さんのところまで連れてって。」 「はい。」 黒髪ぱっつんが金髪を呼んで倒れている女子生徒を女子トイレから運び出した後、 「さあーてと。」 部長がバキバキと手を鳴らし、一点をきっと睨んだ。 その先には、黒い霧状のもやもやした何かがいた。 「いっちょ暴れますかぁああ!」 そう言うと、部長は右手の拳(こぶし)にチカラを集め、黒いもやもやに飛び込んでいった。 「どっりゃぁああ!」 部長の拳が黒いもやもやにクリーンヒットし、黒いもやもやが吹っ飛んだ。 「もう一発っ!」 再び部長の拳が黒いもやもやを捕らえ、 『許サ…‥ナ、イ…‥』 黒いもやもやは、消えていった。 「任務完了。今からわたしも京子さんのところに行ってくる。」 「了解です。」 イヤホンから銀縁眼鏡が応えた。 「美月(みつき)。」 銀縁眼鏡が、部長の名を呼んだ。 「気にすんなよ。」 「…‥うん、判ってる。」 部長はそう応えてイヤホンの電源をオフにすると 「くそっ!」 拳で壁を殴った。 拳がじんと痛んだが、部長は気にせずにきびすを返した。  
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