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成瀬満(なるせみつる)も、眠っている生徒のうちの1人である。
茶髪の頭がちらほらと教室を埋める中、満は、真面目なことに黒髪のままである。
視力には恵まれており、今まで眼鏡(めがね)やコンタクトと言った類(たぐい)のものには、お世話になったことはない。
容姿は、同じ歳の男子達よりも低い身長と童顔のせいで、実年齢よりも2歳ほど年下に見られる。
高校生になった今も、本屋でポイントカードを作る際に
「中学生でよろしかったでしょうか?」
と言われ、ひどく落胆した。
もちろん、「高校生です……」と訂正したが。
あのときの店員の疑うような視線を、満は忘れることができないでいる。
友人は、
「歳よりも若く見られるんならいいじゃねえか。俺なんかさあ……」
と励ましと愚痴(ぐち)を言うが、判っていないと、満は思う。
若く見られると言えば聞こえはよいが、要するに、幼く見られるということだ。
幼く見られる = 未熟
そんなレッテルを貼られているような気がして、満は悲しさと悔しさを感じずにはいられない。
そのため、満は、早く大人になりたいなと願っていた。
早く大人になって、一人前だと認められたい。
それが、満の願いであり、夢でもある。
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