報告書1:七不思議について

6/9
前へ
/85ページ
次へ
  そして、終業を知らせるチャイムが鳴り、「今日はここまでにしましょうかねえ」と言って、非常勤が教科書を閉じた。 「起立」 気だるげな学級委員の声で、皆が椅子から立ち上がった。 「礼」 学級委員の声が再び鳴り、全員がぺこりと頭を下げた。 ようやく、生徒達は眠気から解放された。        * 昼休み。 満が古典のノートや教科書を鞄の中に片付けていると、 「満、飯行こうぜ!飯!」 1人の男子生徒が満のもとへとやってきた。 その人物は背が高く、がっちりとした筋肉質で坊主頭というむさ苦しい外見をしている。 しかし、彼の人懐っこい爽やかな笑顔がむさ苦しさを払拭している。 彼が何部だと思うかを問えば、10人中5人が柔道部、残り5人が野球部だと答えるだろう。 ちなみに、正解は後者で、彼の名は孝之という。 「満、早く!早く!」 のんびりしている満を再び孝之が急(せ)かした。 「ん、お待たせ。行こうか」 満が言うと、 「おう!」 孝之が元気に応じ、2人は連れ立って食堂へと向かった。  
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加