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チャオ ソレッラ
「文字全体もそうだけど、見るべき所は性格が出る止め・跳ね・払いとかの部位。そこを注意して見ればだいたい分かるはず」
「分かった。夕紀ちゃんの為に私頑張るよ」
どういうことなのか、
あの後香織お姉様は自分も筆跡鑑定をしたいと言い出し、今は隣で手紙と名前を睨めっこしている。
この人を思ったからこそ俺に送ったのにその思い人に仕返しされようとしているなんて夢にも思っていないだろう。
ただの八つ当たりで始めたことだから何だか可哀想に思えてきた。
「いた。1のB山中佐代子、間違いない!いつもクッキーくれるから絶対この子だよ!」
か、顔見知りまでいるのかよ。
「あ、これ巴ちゃんの字だ。良くラブレターもらってるから見ただけで分かる。あ、水瀬ちゃん。神島さんまである!」
……ますますヤバくなってきた。
妹を夢見た思いを寄せる純な女子生徒に今危機が迫っている。
しかも俺の八つ当たりと言うなんとも理不尽な理由でだ。
「……どうしよう」
「怯むことないよ夕紀ちゃん。私がいるから」
いるから問題なんだ。
俺1人ならどうにだってなるがアンタがいたら色々と踏みにじっちまうもんが生まれるんだよ。
こんなのはフェアじゃない。
な、何とかして香織お姉様抜きで八つ当たりしたいんだが……てか八つ当たり自体どうでも良くなってきた。
――何かないか何か。此処には手紙があって香織お姉様もいる。
あわよくば彼女達を逆に喜ばせる事が出来るはずだ。
手紙、お姉様……そうお姉様からの手紙!そうだ、香織お姉様に返事を書いてもらおう。
嫌みな奴じゃなくて何気ない日常会話みたいな香織お姉様っぽいやつ。
そうと決まれば早速っ…!
「夕紀ちゃん。私は水崎お姉様以外を敵に回しても夕紀ちゃんの見方だからね。じゃあ嫌がらせの手紙渡してくる!!」
「早っ!?……てか待て!待ってく……っ!!」
もし運命の神様がいるのなら俺は今アナタを呪います。
てか早いよ香織お姉様。
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