25人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういえば、松本って、たしか妹がいたよな?」
「あぁ。いるけど?」
「高校、どこ行くの?」
……あー、そっちの話か。
別のことを聞かれて、なんだかほっとする。
「宮ノ塚に行くってさっ。妹、公立落ちたからなー」
と言うと、河内は「そっか」と言って、頭の後ろで手を組み
「なんか、不思議だよな。俺たちの弟や妹、親戚がこれから同じ高校に通うなんて」
と言って、目を閉じた。
ちょうどそのとき、バスのエンジンがかかり、扉が閉まる音が聞こえた。
いよいよ出発の時間らしい。
俺は窓に体を寄っかからせ、外をぼんやりと眺めた。
しばらくして、バスが動き出し、車内でどこ行きかのアナウンスが流れ初めていたが、俺は目を閉じて眠った。
.
最初のコメントを投稿しよう!