106人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
ダイちゃんの夢と毎日格闘していた
ダイちゃんのお父さんに教えて貰った鮫島さんと言う方にも色々聞いてみた
ダイちゃんが生きてたら二年後の3月に着工で6月下旬完工予定
7月7日にオープンする筈だったと言っていた
七夕の日に訪れたお客様は天窓から覗く星を眺めて眠りにつく…
それぞれの思いや夢を星を眺めながら語り合う…
ダイちゃんらしい演出だと思った
やっぱりダイちゃんは素敵な人なんだ
素敵な思い出をお客様にプレゼントしたかったんだ
花束やレイアウトもそうだったように
決まってお客様の気持ちを考えてテーマを創っていた
…そう言えば加代ちゃんに聞いた事があった
小さい女の子が10円玉を握りしめて母の日の花束を買いに来て
勿論10円で出来る花束などなかったから加代ちゃんは
『ごめんね…お金足りないんだ』
加代ちゃんも従業員の身だから断る事しか出来なかった
女の子は寂しそうにお店を後に…
女の子と入れ違うようにダイちゃんが帰ってきて加代ちゃんに事情を聞いた
途端に女の子を追い掛けてお店に連れ戻してきて
『お嬢ちゃんは幾つですか?』
女の子は指を大きく広げて5歳だと教えてくれて
『そっか、偉いね…おっちゃんが花束創ってあげるし、ちょっと待っててや』
ダイちゃんは母の日の花束を創ってあげて
可愛らしく三輪のカーネーションを束ねた
『おかあさんはしんじゃったの…』
唐突に言う女の子…
ダイちゃんは笑顔で
『そっか、尚更偉いね…お母さんはきっと天国でお嬢ちゃんの事を賢いなぁ~って言ってはるわ』
直ぐに白いカーネーションに変えてあげたんだと…
女の子は喜んで花折々を後にした
その日の夕方にその女の子とお父さんが花折々にお礼と代金を支払いに訪れた
その時はダイちゃんは配達に出て居なくて
その子のお父さんは話す事が困難で手話で懸命に加代ちゃんにお礼を伝えていたとか…
ダイちゃんはいつでも幸せをさり気なく分けてあげていた
この夢のペンションも訪れた方々に
ささやか かも知れないけど
さり気なく幸せを分けてあげたかったに違いない
ダイちゃんはそんな素敵な人…
また止まらない涙が溢れてきた
テーブルに置いてある携帯が震える
ー着信…066…ー
登録してない番号だった
恵理『もしもし…』
女『私○○生命保険の斎藤と申します、徳永大地様のお父様から連絡頂きまして、遅れまして大変恐縮ですこの度は徳永大地様…御愁傷様でした』
最初のコメントを投稿しよう!