【夢を抱いて】

2/8
106人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
ダイちゃんの夢のログハウスへ向けて着々と計画は進んでいた 夢大を育てながら資料を読み漁り無知な私もそれなりの知識を得ていた 毎日子育てと勉強に悪戦苦闘する 夢大が眠る時間を全て勉強に費やして何とか一週間後から着工に入る所まで漕ぎ着けた けれど、まだまだ問題は山積みだった ダイちゃんが自分で造る筈だった庭 花折々の経営に季節折々の経営 いずれにしても経験者を雇う必要がある 花折々はダイちゃんの様なセンスと考え方のある人が私の中では絶対条件で季節折々は庶民的なフレンチを提供できる料理人、ペンションの管理も必要だし… 内装やら設備は工務店さんと予算を見合わせて打合せをすれば済む 問題は従業員だった 現地採用で希望にそった方が居るだろか 離島の絶対的に人口も少ない場所で… 頭を抱えていた 後4ヶ月以内に見つけなければダイちゃんが決めていた7月7日のオープンに間に合わない それまでに広告を打って宣伝もしなければならない ダイちゃん助けて~と また独り悲鳴を上げていた 3日後には大阪を離れる 完成するまでの4ヶ月間は近くにアパートを借りていた 引っ越しの荷物は既に送って後は短な物を出発の日に送るだけでダイちゃんのお墓も屋久島に移した 不安が時折、意地悪を連れて来たけど、希望がそれを遠くに追い払ってくれる それは最愛のダイちゃんの夢を受け継いだ責任があったからだと思う あんなに愛した大切な人の夢をただの泣き虫のあかんたれが受け継いだ責任… ダイちゃんの事を今でも… 変わらず愛して止まないから… 不安を遠ざけてくれているのだと、そしてダイちゃんがいつでも守ってくれているという安心もあったからだ 明日は潮山海で送別会を開いて頂ける予定になっていた 毎日の様に温かい言葉を戴いていた方々にお別れをする日 ダイちゃんと初めて逢った潮山海で… あの日を思い出していた… 初めて見たダイちゃん あの時から全てが始まって… 『人を愛する大切さ』 『愛するが故の不安と安心』 『自分に正直に生きる勇気』 『思いやりや人との絆』 『報われる努力と希望』 『辛い時は一つ足すだけで幸せになる事』 ダイちゃんに教えて貰った 夢大にも伝えてこれからお世話になるで有ろう方々やお世話になった方々にダイちゃんの生き方を伝えて行きたい 夢大の寝顔を見ながら頭の中で過去と未来の交差点を渡っていた
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!