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暫く黙り込んだ
早紀『…ただ大地さんを愛しているまま彼と結婚したわけではないんです…
大地さんの事を忘れさせてくれるほど、私の過去を全て受け入れてくれて…
けど、結婚した途端に異常なまでの嫉妬と束縛に対して日に日に大地さんと比較するようになっていました
だから寝言で呼んでしまったのかもしれません…』
下を向きながら話す早紀さん
恵理『良かったじゃない、嫉妬や束縛から解放されて…自由になれたんだから』
早紀『……』
恵理『ダイちゃんが逝ってしまう事によってあなたは自由を手に入れた…笑って過ごせばいい』
早紀『……』
恵理『結局あなたはダイちゃんにまた助けられたのよ
一度ダイちゃんを地獄へ落とし…
あなたの理性の欠落で…
それでもダイちゃんはあなたを薬から解放させてくれた
その後も走り廻ってあなたが作った借金を土下座して頭下げて返して…
確かにあなたは更生して奴に出会って一度は幸せを掴んだかも知れない…
地獄のような生活からあなたをダイちゃんは…
死を持って抜け出させたようなもの…
確かに早紀さんには否はない
けど、私はやっぱり許せない!』
涙が溢れてくる
ダイちゃんが余りにも可哀想で仕方ない
夢大がぐずり出す
早紀『…はい、許して頂こうとは思っていません…一生償って行きます
ただその前にお詫びだけはしたくて』
恵理『償う?一生?笑わさないで、とにかく私の前に現れないで償って貰わなくても結構ですから、私の前に現れないで!』
うなだれる早紀さん
早紀『……』
恵理『人を待たせていますので』
早紀さんを後に潮山海の暖簾を潜った
大将『まいど!主役のお出ましだ…おぉダイちゃんに似てきたねぇ~』
夢大のほっぺをつつく
すぐさま顔の向きを変えて私にしがみついた
恵理『大将嫌われましたね』
大将『あはは…昔からワシは子供と女には人気ないから慣れっこ…あはは』
奥の座敷に通された
これまでにお世話になった面々が揃っていた
夢大を母に預けてトイレに行く
早紀さんの事を考えていた
許してあげれば早紀さんは苦しみからきっと解放される…
そしてまた歩き出せるかもしれない…
早紀さんに否はない
何故私は意地悪な事を吐くのだろう
ダイちゃん…早紀さんは許してあげるべき?
自分自身の器の狭さというか心の醜さに頭を抱えていた
反面、ダイちゃんが身勝手な嫉妬という理由で逝ってしまった事実に怒りと憎しみは消えない
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