【夢を抱いて】

6/8
前へ
/222ページ
次へ
ダイちゃんの夢を抱いて屋久島の地に立った 伊丹空港から鹿児島空港経由で約二時間余り ダイちゃんが生まれ育った小さな島は丸い形をしているのを飛行機の中から確認していた 周りは醒めるようなブルーに囲まれて島は全体が濃厚なグリーン一色だった 世界自然遺産に登録されている島 周囲は約 130Kmの丸い形で標高 1900m強 島の頂きは冬になると積雪もあるとか この小さな島には沖縄から北海道までの気候が凝縮されているのだとダイちゃんから聞いていた ダイちゃんのご両親に挨拶を済ませ そのまま夢大を預けて鮫島工務店へとバンを走らせた ダイちゃんの愛車の白いバンは大阪から鹿児島まで陸送して貰い 鹿児島から屋久島までは貨物船に乗せて運んで貰っていた まだまだダイちゃんを短かに感じていたかった バンの窓を全開にして初春の陽気な風を感じて 潮の香りを楽しんでいた バンを鮫島工務店の駐車場に停めて事務所へ入る 恵理『こんにちは徳永と申します』 鮫島『あぁどうぞ奥に』 事務所の奥の応接室らしき所へ通された テーブルとソファーの上には資料やらカタログと思われる雑誌が積み上げられていた 座る場所がない… 鮫島『片付ける時間もなかたいね』 そう言い訳しながら積み上げられている資料やらを更に積み上げて座る場所を空けてくれた 鮫島『これ契約書たい、判子押すとこ30カ所くらいあるけん押したら呼んで貰ってよか?』 そう言うと鮫島さんは事務所へ歩きかけた 恵理『はぁ、これまで打ち合わせは全て電話だけでしたしちゃんと契約の内容を説明して貰えませんか?』 鮫島『他の仕事が山積みたい分からんことは聞いてくれんね』 明らかに面倒くさい感じがした 恵理『これから約4ヶ月かかる大工事ですよ 費用が4000万…なのに何の説明もなく判子付けと』 鮫島『素人さんに説明してもややこしくなるだけたい、ちゃんと要望通りの工事はしますけん』 また事務所へと歩きかける 恵理『鮫島さん確かに私は素人です全くの無知です、けどなんですか?そのやる気のない発言はあまりにも失礼じゃないですか』 鮫島『失礼?ふっ、無理難題押し付けて失礼はなかよ、ダイちゃんも散々無理言いよったよ ペンションに花屋、おまけにお洒落なフレンチ…この島にも花屋さんはあるし旅館にホテルに小さいがレストランもあるとよ…地味に昔からやりよったい』
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

106人が本棚に入れています
本棚に追加