【夢を抱いて】

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恵理『だから何ですか?』 鮫島『地元の住民や商工会はあんまり良い顔ばしとらん…』 頭を掻く鮫島さん 恵理『…でもちゃんと建築許可も営業許可も貰ってますけど』 鮫島『まぁ、ちゃんと図面通りに建てますから』 恵理『言っている意味が良くわかりません…この島には工務店は鮫島さんとこだけなんですか?』 鮫島『いやぁいくらでもあるたい』 恵理『鮫島さんとこの工務店がこの島で最初の工務店なんですか?』 鮫島『いや、オイがとこはまだ新しい方たい』 恵理『じゃあ後からできたんなら、いちいちこの建築に反対するような事を言われる筋合いはないかと』 イライラしていた 鮫島『まぁ結局余所もんたい、こん島んことなんも知らんからたい』 恵理『ダイちゃんが生きてたら別だと?』 鮫島『…そげん尖らんでもよかやなか?こっちかて無理ば聞いとるとやし』 腹が立っていた 全くやる気を感じないし仕事を請け負う側の言葉ではない ダイちゃんならきっと懇々とこの鮫島に説教するに違いない 何でこんな奴にダイちゃんは夢の建築を依頼したのか解らなかった 恵理『いったいさっきから無理聞いてやってるって仰有ってますけど ダイちゃんも私もどんな無理を言ってるんですか?』 私はいつの間にか腕組みをしていた 女でしかも無知な私はなめられている気がした なめられないように小さなパフォーマンスだった 鮫島『一番は工期たい6月末までには結構大変たい、無理して急いでクレーム言われるのは叶わんたい』 まったくダメだ この男…話しにならない 無理して急いで怪我人でも出たら と言うかと思った この男は自分の事や世間体しか考えてない 無理だ この男にダイちゃんの夢は預けられない 怒りが頂点へ… 恵理『わかりました…白紙に戻します こんなしょうもない工務店へ工事は頼めません 馬鹿々しい』 鮫島『そうですか、じゃあ違約金頂きますばい』 作業服の胸ポケットからタバコを出して火を付ける 恵理『オタク女か余所もんや思うてなめとったらあかんで!違約金?はぁ?いつ違約金が発生する約束交わしたん?念書はどこにあるん?出してもらいましょうか』 鮫島『………』 恵理『早よだしや!幾らなん?その違約金って』 鮫島『…額は…まぁ』 恵理『まぁ?ってなんやねん!オイ、まぁってなんやねん!』
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