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キレた…
生涯で初めてキレた
テーブルに積み上げられている資料をひっくり返した
鮫島『………』
恵理『ウチが女か余所もんや思うてなめとったらあかんで、ダイちゃんが何十年も温めてきた夢を…ふざけるな!白紙ですこの話しはなかった事で』
事務所を勢いよく飛び出した
悔しかった
この一年半は寝る間も惜しんでこの日まで頑張ってきたのに
増してやダイちゃんの大切な夢を請け負う側は全く理解していない事
やる気のなさ…
有り得ない…
どうしてダイちゃんは鮫島に依頼したのか益々解らなくなっていた
やっぱり私が女で無知だからなめられているとしか思えなかった
バンに乗り込みダイちゃんの実家へと走らせた
恵理『ただいま』
義父『もう終わったんかい?』
夢大を抱き上げる
恵理『はい…断ってきました』
義父『断った?なんがあったとや』
恵理『あの工務店には頼めません、全くやる気がないし何の説明もなく契約書にサインしろと…他にも旅館やホテル、花屋もあるから反対されてるみたいです』
義父『…あの馬鹿はなんばいいよるかね、まったく…今からオイが行ってちゃんと話してくるたい』
恵理『いえ、あそこに頼みません…手抜きされるのが落ちです』
義父『まぁ恵理さん落ち着きよ、恵理さんが納得いくように話しばしてくるけん』
恵理『…無理です、もう無理ですダイちゃんもきっと同じこと言うと思いますから
私が女で無知だからきっと足元見られているとは思います…百歩譲ってもあそこには頼めません』
義父は困った顔をしていた
私は冷静になろうと何度も試みたけど無理だった
恵理『なんでダイちゃんは鮫島工務店に依頼したんですかね』
義父『…理由は分からんが同級生ちゅうだけの理由やなかね』
恵理『ダイちゃんはそんな理由であんな人に自分の夢を託しますかね?事務所も汚いし、どう考えても人が生涯で一番高い買い物を請け負う仕事をしてる誇りとか有り難さとか…感じません』
ダイちゃんのお父さんは黙ったままだった
鞄に入れてた携帯が震えた
ー着信…加藤さんー
加藤『まいど、偉い発狂したみたいやな』
恵理『早いですね、鮫島さんから連絡入ったんですか?』
加藤『あぁ入った、奴もボヤいとったで、気の強い大阪の女言うて』
恵理『ムカつく』
加藤『今からそっち行くし』
電話を切った
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