【余所もん…】

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前橋『…申し訳ありません…無理に等しいです』 無理もないと思った 明らかに無謀なお願いだと言う事は無知な私にもわかっていた 恵理『…ですよね、急に無理言いましてすみませんでした』 前橋『…いえ、力になれなくて申し訳ありません』 恵理『いえいえ、そんな…無理言ってるのは承知していましたので』 私は無知な甘ちゃんだと改めて感じていた 前橋『一つ聞いていいですか?』 恵理『はい、構いませんよ』 前橋『工期をずらせませんか?そうしたら可能ですが…3ヶ月ばかり後に…』 恵理『すみません、ずらすとなるとちょうど一年後になります』 前橋『そうですか…一年後では?』 恵理『…一年後でもダメな事はないんですが…』 今年の七夕の日にオープンする事だけを考えて進めてきただけに、諦めがつかなかった 前橋『ですが?何かありますの?』 恵理『はい、徳永が中学生の頃からの夢だったんです 屋久島にログハウスを建てるのが 図面も自分で引いて庭は自分で造るつもりで… 七夕の日にオープンする事になっていて 12棟のペンションには天窓が付いていて 恐らく宿泊された方々に星を眺めながら… 色んな思い々の会話をしたり 思い出を創って貰ったり… そんな徳永の夢に私も参加させて貰ったものですから… 叶えてあげたくて… 徳永の夢を叶えてあげたくて…』 前橋『………』 恵理『あっ、ごめんなさい こんな話しをしても仕方ないですよね 工事には関係なかったです、ごめんなさい』 前橋『…いぇ』 泣き虫のあかんたれが現れてしまった 前橋『…三時間程待って貰えませんか?明日でもいいんですが、明日は一日中手が離せないもんですから、また連絡しますさかいに』 恵理『いえ、無理させてしまいますから、少し私なりに考えてみます』 前橋『いや、約束はできませんが、今からあたってみます職人さんやらそこに一番近い仕入れ先やら、この時間ならまだ連絡とれますよってに…』 恵理『なんだか、申し訳ないです』 前橋『約束はできませんよ… ただ… 徳永さんにはお世話になりっぱなしでしたから… 徳永さんの夢… 前橋工務店にもお手伝いさせて下さい では、後で必ず連絡します』 そう言うと前橋さんは電話を切った 『徳永さんの夢…お手伝いさせて下さい』 …か どうしてダイちゃんの廻りはいつも温かい人達ばかりなの…
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