【余所もん…】

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前橋さんからの連絡を待つ間に荷物の片付けをやりながら祈る思いだった いつの間に夢大は目を覚ましたのか私の背中に抱き付いてくる 恵理『夢大起きたんだ、お風呂入ろうか?』 コクンと頷く夢大 まだ眠たそうな顔をしている 恵理『夢大はお利口さんですねぇ』 抱き寄せてキスをする 私のオデコの辺りに手を伸ばして力強く押さえる キスを拒否している 唇を離すとすぐさま自分の唇を手で拭う 恵理『可愛くないなぁお母さんのチューは特別なんだよぉ』 可愛げのないキス拒否は私に取っては愛しくもあった とにかく夢大は大人しいお利口さんだった 殆ど泣くこともなく一日中ミニカーを床やテーブル、壁に滑らせて 『ブーブー』言いながら遊んでいた いつものように一緒にお風呂に入る 抱き抱えてシャンプーをする 小さな洗面器の中には夢大お気に入りのミニカーが数台入っている 私が頭や体を洗っている間に夢大がミニカーを洗うのだ 洗うと言っても洗面器の中でソープで泡立てて、その泡が膨らんでいくのを楽しんでいるようだった 時折泡がジャポン玉に変わると吸い込まれるように魅入る夢大の瞳はあどけなく素敵だった お風呂から上がり夢大の体を拭く 紙オムツを履かせてパジャマを着せる 夢大お気に入りのリンゴジュースを手渡すと一気にストローにかぶりつく と、同時に夢大のほっぺたは縮こまりジュースのパックも合わせて縮こまる 夢大が呼吸を忘れる瞬間だ ストローから口を離すと決まって『あぁ~』と息をする この瞬間はオッサンになる 顔が火照った可愛いオッサン… 私の顔は自然と綻んだ テーブルに置いてある携帯が震える ー着信…加藤さんー 加藤『少しは落ち着いたんかいな?』 恵理『先程はすみませんでした、大分落ち着きました』 加藤『さよか…まぁ鮫島も悪気があったんと違う思うし、このまま進められへんのかいな』 恵理『…えぇあそこには頼めないです』 加藤『…ワシからもちゃんと抜かり無く工事するように念を押すよってに…』 加藤さんの気持ちは分かっていた 加藤さんにしてみれば鮫島は幼なじみ 恵理『加藤さんが同じ立場だったら頼みますか?』 意地悪な事を言ってしまった 加藤『……』 恵理『ごめんなさい、意地悪な質問でした』 加藤『いや、かまへん…多分ワシやったら鮫島をシバき倒してるわ』 加藤さんは困ってた
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