【余所もん…】

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恵理『どうしても無理です、感情的になってるのかも知れません けど、ダイちゃんの何十年もの思いや期待を考えると… やっぱり鮫島さんとこには頼めません 例え土下座されても無理です』 加藤『うん…まぁやるんは恵理さんなんやし 恵理さんのやりたいようにやったらええとは思う けどやな、大阪の大都会とは違うんや これから先は否が応でも対、人との繋がりやらが大切になってくる こんな人口の少ない離島では孤独感が一番の敵になりよるしな』 恵理『妥協しろと…』 また意地悪を言う 加藤『ちゃうがな… 例えばの話しやんか この件だけの事を言ってるんじゃないねん 島の人から見ると今はまだ恵理さんは余所者なんや 受け入れられてへんちゅうこっちゃ』 加藤さんの電話を切り 『余所者…まだ受け入れられてへん』 が頭から離れなかった 考えてもみなかった 鮫島にも言われたがあの時はただの勢いで言われたのだと思い 大して気にも止めていなかったけど、加藤さんに言われて考えさせられた 島の方々にすれば余所者… その余所者が偉そうにこれから事業を始める 何も知らない土地で… 私の無知故の見切り発車だったのか ダイちゃん… 余所者がちゃんと暮らして行くにはどうしたらいいの? 分かるんだよ加藤さんの言ってる事 けど、余所者だから端っこで暮らす必要はないよね? ダメなの? ダイちゃんが居ないからダメだったの? ダイちゃん教えてよ… ダイちゃんの言うことなら迷わずやり遂げる自信があるから… 夢の第一歩は厚い壁だった 鮫島工務店に工事を依頼すれば丸く収まる気もしたけど やはりダイちゃんの夢は預けられなかった 私にしてみれば鮫島のやる気の無さは呑み込めなかったし満足のいく工事をして貰う確信も生まれてこなかった そしてまた問題が頭を掠める 先程お願いした前橋工務店さんが工事を請け負ってくれたとしたら あからさまに余所者が工事を請け負う事になる また一波乱があるような気がしてならなかった 後悔の念に再悩まされる ダイちゃんが進めていた鮫島工務店だっただけに何の問題もないと勝手に思い込み これまでの電話での打ち合わせも無知なまま殆ど鮫島工務店の言われるがままだったような気がしてくる 素人が首を突っ込むには余りにも暑い壁だったと一気に重たくなった
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