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裕美『…恵理さんは真っ直ぐなんやね
大事な事やと思うけど…
内は旦那と長い事仕事してたから事業とか慣れたもんやけど
恵理さんにとっては何もかも初めてやし、分からん事だらけやと思うから何度も言うけどいつでも頼っていいしな』
恵理『うん、ありがとう…
そうする』
嬉しかった
裕美『今、内らも観光事業始める準備してるけど…
壁に当たってるんやわ』
恵理『壁?加藤さんや裕美ちゃんでも?』
裕美『うん、かなり分厚い壁やわ』
裕美ちゃんの顔から笑顔が消えていた
恵理『どんな壁なん?』
裕美『デカいライバルが立ち塞がってるんやわ
この島と隣の種子島の観光事業を牛耳ってる奴が居ってな…』
真剣に話す裕美ちゃん
恵理『…良くは分からないけど、大変なんだ』
裕美『旦那は口では大丈夫言うてるけどな、流石に頭抱えてるんが分かるんよ』
恵理『…そうなんや』
裕美『佐々木産業言うてやっちゃんやってるとこ…
観光船やホテルにゴルフ場に大型ショッピングセンター
島のバスにタクシーも全て佐々木産業経営
ガソリンスタンドも幾つかあるしレンタカーもやってる
観光客はその船で島に来てそこのホテルに宿泊する
お土産もホテルで買えるように売り場もあるし交通手段や買い物も全て佐々木産業にお金が落ちる仕組み』
恵理『…そっか、けどやり手ですよね、逆に賢いと思う』
裕美『そやねん、めちゃくちゃ賢い…旦那は知ってて敢えて自分も観光事業に飛び込んだんやわ、まぁ大阪でライバルを蹴散らしてきた自信があったからやと思うけど、今度ばかりは難しいと思う』
恵理『…でも、良くは分からないけど加藤さんなら上手くやると思うけどなぁ…そんな気がする
根拠はないけどダイちゃんからいつも加藤さんの話しを聞いていたから…
大丈夫だと思うよ
ごめんね、何も分からないのに』
裕美『ううん、ありがとう…旦那信じてるし普段はアホやけど仕事は出来る人やから
まぁそこに惚れ込んだやけどね恵理さんはまだ大地さんの事愛してるんやね』
少し裕美ちゃんに笑顔が戻った
恵理『うん、死ぬまで…死んでからも』
裕美『あはは…そう言うと思ったわ
なんや恵理さんを励ましにきたのに逆になってもうたわ』
一時間程お喋りをして裕美ちゃんは帰った
後々、佐々木産業がダイちゃんの夢の前に立ちはだかる存在になる事はまだ気がついていなかった
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