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稲葉『ある時大地さんが[イナちゃん俺と競争せえへんか?来年俺は造園の資格を取るつもりなんや、イナちゃんは先ず二級建築士の資格狙えば?大工だけの技術やなくてこれからは多種多様なアイデアや技術が絶対に求められる時代になるし
お互い勉強して競争しようや
落ちた方が一杯奢ると言う事で]
と、この先大工の技術だけでは飯は喰っていかれへんのを大地さんは察していたんですよ
まぁお互い必死に勉強して合格出来て、その後私は一級建築士にチャレンジして今があります
ログハウス建築の案を出してくれたのも大地さんでして
今ではお陰様で地方からの受注がたくさん入って下りまして三年先まで受注がいっぱいなんです
大地さんは[イナちゃんが時間取れたらワシのログハウス任せたい]
と言ってくれてましたが、地元の同級生の工務店が傾いているさかいに悪いがそっちで頼む事にしたと亡くなる1ヶ月前位に連絡貰いまして
大地さんの思いやりと言うか気遣いと言いますか…
自分の事やなくて…
凄い男や思って…
なんであんな亡くなりかたをせなあかんのか…
なんや、やるせないですわ』
稲葉さんは涙をこぼしていた
恵理・前橋『……』
稲葉『夕べ前橋さんに連絡貰ってやっと恩返しが出来る思いまして飛んで来ました
遅れましたが葬儀にも来れんとすまんでした』
恵理『いえ、それはお気になさらないで下さい、たぶんお仕事が忙しかったと思いますし、徳永もきっと理解している筈です』
稲葉『えぇ、たぶん仕事そっちのけにしたら怒やされてたと思います、帰りに墓参りして行きますよってに』
恵理『すみません、ありがとうございます』
前橋『是非、私と稲葉に任せて下さい』
恵理『はい、本当にありがとうございます
これ以上の言葉が見つからなくて…』
前橋『とんでもないです、早速で申し訳有りませんが契約書を交わさないと工事に入れませんので戻って作成してきますので予算を教えて下さい』
恵理『はい、お願いしていた工務店さんは4000万でした
ですが完工までの宿泊費と交通費を乗せて頂ければ』
前橋さんと稲葉さんがまた顔を見合わせた
恵理『ごめんなさい、私無知なもので安すぎました?』
前橋『まさか、少々高いかと思います』
恵理『…はぃ』
前橋『確か土地と丸太はあるんですよね?』
恵理『はい、徳永が亡くなる大分前に買ってます』
また二人で顔を見合わせた
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