【足跡】

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恵理『私は結局何にもしてない…』 加藤『そんな事あらへんがな…此処までたどり着いたがな それこそ大したもんやで』 恵理『…はい、そう言って頂けると救われます』 義父『そうたい、加藤の言うとおりたい よう此処まで頑張った』 恵理『…なんだか…すみません』 涙が溢れてくる 義父『なんを謝りよっとか 恵理さんがこれからやりよる事はこん島にとって活性化するきっかけになる気がするたい 佐々木産業が一人でなんもかんもやりよるから 誰も立ち上がって新しい事をしよらん あきらめよったい 段々と過疎化してきてるし若いもんが頑張って開拓せんと せっかくの世界遺産もただの一時だけのお祭りたい 祭りが終われはみんな白けてしもうたいね』 私は鼻を啜っていた 裕美『けど、大変なんはこれからやで 先ずは従業員をちゃんと養っていかなあかん責任があるしな 恵理さんの采配で決まる思うし』 恵理『えぇ、それはダイちゃんを見てきて良くわかってるつもりです ありがとう裕美ちゃん』 この後ボスさんとキクさん 矢吹さんに加代ちゃんに連絡して しゃくり上げながらお礼を言った ダイちゃんの実家で晩御飯を加藤さんと裕美ちゃんもご馳走になった 終始話しは加藤さんのやんちゃな学生時代の話しで持ちきりだった 義父の加藤さんの話しが面白くて 特に裕美ちゃんはゲラゲラ笑いながら聞いていた 裕美ちゃんは多少口が悪そうに感じるけど いつでも回りの事を気に掛けて 絶妙なタイミングで気を使う そんな裕美ちゃんを羨ましく思っていた 当たり前だけど私には無いものをちゃんと持っている 私はまだまだ世間知らずの泣き虫のあかんたれだった 実家を出てバンをアパートへ走らせた 今日も星空は満天だ 左側に見える海岸は深い闇と交わりあって どこまでが海でどこまでが空なのか見分けがつかない 昼間の海も空も透けるようなブルーなのに 夜は一変して各々がダークブルーに変わる いずれの海も空も 吸い込まれそうだった ダイちゃん… ありがとね 何もかも決めていてくれて… きっとダイちゃんが決めていてくれなかったら お手上げだったよ… ダイちゃんは凄いよね ダイちゃんの廻りにはこんなに素敵な温かい人ばかりで 私なんてちっぽけなただのチリみたいだよ 吹けば飛ぶし… 泣くだけが取り柄 キレるし… 人の事まで気が廻らない…
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