虚ろな記憶

4/5
前へ
/70ページ
次へ
「ねぇ、私達が初めて会った時の事、覚えてる?」 「初めて会った時?多分、会社の飲み会だったよね。課が違うけど、唯の事は知ってたよ。」 ねぇ、それは会ったっていうの?一方的に知ってたっていうんだと思うんだけど。 「私の事、知ってたの?初めて聞いた。」 「あれ?言ってなかったっけ?」 「聞いてないと思う。」 「言った気がしてた。よく噂に聞いてたから。」 「噂?」 「そ。綺麗なお姉様がいるって。結構憧れてた奴多かったんだよ。」 「何それ。」  思わず笑ってしまった。そんな事始めて聞いた。  「だから、唯と付き合えてる俺は幸せ者。」  そんな事言って。あの飲み会の時、私とは真逆の、可愛いと評判の女の子をお持ち帰りしてたでしょ。噂になってたよ。  私が知らないと思っているのか、それとも知らないふりをしているのに気付いているのか。  .
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加