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「勇洙!ちょっとは反省するよろしぃ!!」
「耀さん、落ち着いてくださいっ!それよりも、どうかしたんですか?急に立ち止まって……なにか気になるものでも?」
今にも勇洙に噛み付きそうな耀に、菊はなんとか話題を変えようとする。
少し落ち着いたらしい耀はぶつぶつ言いながら立ち上がった。
もちろん手は腰に当てたまま。
「あぁ、そこの洞窟からお宝の匂いがしたある」
そこ、と耀が指したのは人一人がギリギリ入るかどうかといった入り口の洞窟。
入り口からはただ闇しか見えず、かなり奥深くまで続いていそうだ。
「お宝、ですか?私にはただの洞窟に見えるのですが……」
「こんな如何にも何かありそうなところ、見逃す訳にはいかないある!それに、我の勘が言ってるあるよ!間違いなくここには宝があるある!」
あるある……。
しつこいとは思うが、気にせずにはいられない菊。
耀があまりにも自信満々で、本当に宝があるんじゃないかとまで思えてきた。
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