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懐中電灯を手に装備した耀が、さっきまでの疲れた姿が嘘のように軽い足取りで洞窟へと入って行く。
その後に続いて菊が洞窟へと入ったのを見送ってから、勇洙は二人に気付かれないよう大きな溜め息をついた。
一人空を見上げ、ぽつりと呟く。
「あー……困ったんだぜ」
ふぅ、もう一度、今度は小さく溜め息をついてから山の頂上へと視線を移す。
「先にアレを回収してからでも遅くない……ってことにするしかないんだぜ。」
洞窟の中にあるモノを思い、憂鬱になる気分を無理矢理盛り上げようと勇洙は勢いよく入り口である穴に突っ込んだ。
そして、大きく息を吸い、
「兄貴ー!!詰まったんだぜー!!」
「何やってるあるかあぁぁ!!」
洞窟の奥から戻ってきた耀は、勢いよく、勇洙の頭を懐中電灯で殴った。
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