78人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
「!大丈夫か!?」
「だ、大丈夫だよ!大した怪我じゃない」
落ちてきた時に打って、痣でもできたんだろう。
心配そうに声をかけるアントーニョに答えると、ロヴィーノはまた上を見上げた。
「つーか、よくあんな上から落ちてこの程度で……」
ふと、視線をアントーニョに向けると、見慣れた軍服のズボンに血が滲んでいるのに気がつく。
それも、少量ではなく大量の血が。
「?どうしたん、ロヴィ。そんな親分見つめて……はっ!」
「胸隠してんじゃねーよ!誰が男の胸なんか見るか!じゃなくて…その、怪我……」
さっと両手で胸を隠すアントーニョに、ロヴィーノは思わずつっこんでしまった。
「あぁ、足?別に大したことないねんで。血ももう止まったし」
本当になんでもないかのように笑うアントーニョ。
「……だったら、見せろよ。裾めくって」
「え、でも。」
「いーから見せろって!」
自分に心配をかけないように、アントーニョは怪我を見せないようにしている。
俺のためなのに。俺が、困らせてる。
ロヴィーノは、自分の声が震えているのが分かった。泣きそうになっていることは、アントーニョにも伝わっただろう。
.
最初のコメントを投稿しよう!