第二章、精霊。

3/9
78人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
「!大丈夫か!?」 「だ、大丈夫だよ!大した怪我じゃない」 落ちてきた時に打って、痣でもできたんだろう。 心配そうに声をかけるアントーニョに答えると、ロヴィーノはまた上を見上げた。 「つーか、よくあんな上から落ちてこの程度で……」 ふと、視線をアントーニョに向けると、見慣れた軍服のズボンに血が滲んでいるのに気がつく。 それも、少量ではなく大量の血が。 「?どうしたん、ロヴィ。そんな親分見つめて……はっ!」 「胸隠してんじゃねーよ!誰が男の胸なんか見るか!じゃなくて…その、怪我……」 さっと両手で胸を隠すアントーニョに、ロヴィーノは思わずつっこんでしまった。 「あぁ、足?別に大したことないねんで。血ももう止まったし」 本当になんでもないかのように笑うアントーニョ。 「……だったら、見せろよ。裾めくって」 「え、でも。」 「いーから見せろって!」 自分に心配をかけないように、アントーニョは怪我を見せないようにしている。 俺のためなのに。俺が、困らせてる。 ロヴィーノは、自分の声が震えているのが分かった。泣きそうになっていることは、アントーニョにも伝わっただろう。 .
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!