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「やめろ、それ」
兄貴は洗面台の鏡越しにあたしを見て指差した。
「は?」
何がやめろなんだかわからずに、言い方にいちいちムカついて鏡の中の兄貴を睨んだ。
「お前ほど巻き髪が似合わない女いないから。巻くのやめとけ」
巻き髪で学校に行こうとしたのは今日が初めてではなかった。
確か前に見せたときは、無愛想にも「いいんじゃね」と言ってくれたのに…
「………。」
無言でコテをしまい、兄貴に顔が見えないようにうつむいて洗面所を早歩きで出た。
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