兄貴

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いっさい引き止めようとしない、 声を掛けようともしない。 俺は悠子が何を考えてるのか、どう思ってるのかわからなくなった。 悠子自身が"わかんない"と答えたように……。 ──バタンッ 俺は保健室のドアを閉め、近くにうずくまる。 涙を必死に堪え、最後までかっこつけた自分を無力だと思った。 わかんないって何だよ! じゃあなんで、謝らないでなんて言ったんだよ! と問い詰めれなかったのは、2人の間に見えない壁があったから。 常識や理性が邪魔して、兄妹という巨大な壁がつくられていた。 乗り越えるには勇気が足りなくて 悠子の気持ちが見えなくて 俺はあいつの兄貴なのに……
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