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「…グスッ……ぁ…あぁ…ウッ…」
兄貴が出ていった保健室には、
すすり泣く音だけが響いていた。
兄貴が好きだ。
声にならなかった声が、あたしの心のあちこちに渦巻いた。
言えなかった自分。
言いたかった自分。
ふたりの自分が悩んで、悩んで…
決断できた前者は後悔し、
最後までためらった後者も、同じように後悔する。
どちらが正解か、あたしにはわからない。
気持ちは"好きだ"と白黒はっきりしているのに
現実はいつでも優柔不断で、グレーだった。
あたしはどうしたいんだろう…
兄貴と、どうなりたいんだろう…
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