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正直、あたしは歌がヘタだ。
だからカラオケがあまり好きじゃない。
けど、空気を読まずに嫌だとは言いたくなかった。
「あたしも…カラオ「あ!!」」
兄貴が、言葉を遮った。
「どうした悠護?」
「母さんが悠子に用事があるって言ってたの忘れてた!だから悪いんだけど、帰ってやってくれないか?」
母さんが用事…?
そんなわけない。
うちの母さんは、仕事で海外に行ってるし…ありえないことだ。
じゃあ、兄貴はあたしに気を遣って言ってくれたの…?
「そ、そっかあ!じゃあ、あたし帰るねー!」
あたしは兄貴のナイスな嘘にありがたく乗って、ファミレスを後にした。
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