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「・・・だからよぅ、オラァ女房にいってやったんだよ てめぇのケツよりかてぇ肉初めて見たってな」 「はぁ・・・」 あれから三日がたち、約束通りに店を開いたキリノ 荷台の側に幾つかのテーブルと椅子、更には野外なのに立ち飲み用のカウンターの常備されている 其処では昼間にもかかわらず酒が出されるとあって中年男性の溜まり場となっている 「はい、お釣り ・・・おい、アンタ飲み過ぎだ それとウチの若いの苛めないでくれるか?」 酒のおかわりを持っていった康太に絡む男をたしなめ、自分は普通の買い物客への応対を手際よくこなす 「何だとぅ、お客様は神様って言葉を知らねぇのか!?」 据わった目でつかかってくる客に溜め息一つ吐き、 「あのな、神様ってのは完璧な人のことを言うんだよ 昼間から飲んだくれて女房の愚痴言う奴は神様か?」 「何だと!てめぇこの野郎、こんな店で呑めるかってんだ! 勘定!」 そう言って男はキリノの持っていった酒を一息で飲み干し、カウンターに銅貨を叩きつけ、がに股でドスドス音をたてて帰っていった 「た、助けてくれてありがとうございます で、でも良いんですか?あんなこと言って」 そこまで言うと康太は不安そうに男の後ろ姿を眺めた 「ああ、大丈夫 あの人三日連続あの帰り方だから」 とキリノは何でもない様に話す 「そうそう、アイツがああ言う時は気に入ってる証拠なんだよ 巷で流行りのツンドラってやつだ さて俺もそろそろ行かねぇと」 そこまで言って横で飲んでた男も立ち上がり、カウンターに銅貨を三枚置く 「ツンデレ、な ・・・ああ、アンタはまけてやんないとな」
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