3/8
182人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
「お、覚えててくれたんだ 嬉しいねぇ」 よく見ると男性は、ここを案内させた門番の男だった 「良くしてくれた人には良くしなきゃバチが当たるからな」 愛想笑いで男に返す 「へっ、じゃあお言葉に甘えて、と」 そういうと男は銅貨を一つ懐に直す 「そういや何か妙なことやろうとしてるらしいじゃねぇか 司教が嘆いてたぞー、『俺は凄い奴に頼んでしまった』って 一体どう凄いんだろうな?」 ニヤニヤ笑いながらキリノをおちょくる様に話す 「まけるのやめようか?」 負けじと苛立ちを隠せない笑みを浮かべながら返す 「おっと、そいつぁ困るから早く退散するわ」 そういうと門番の男も足早に店を立ち去る 「ったく、嫌味な中年が多いなここは」 悪態をつかねば心のモヤモヤを除けないのだろう、吐き捨てる様に呟く 「でもここに住む人にとってはやっぱり気になるものですよ 突然部外者が得体の知れない事やろうとしてるんですから」 言い方は悪いですけど、と付け加える
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!