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「そう言うアレルギーみたいな反応を無くすためにこういう事やってるんだがな」 そう、元々の目的とはいえこの地での商いには別の意味が生まれた それは怪しいことをやろうとしている人の素性や人柄などをある程度理解してもらうことだ 「ちょっと店員さん」 そしてその目論見の結果は上々なようだ 「はい、なんですか」 「今日の夕飯何がいいかしらね」 「そうだね、これとかどうです、秋刀魚の干物 これ焼いて柑橘類の果汁とか搾ってかけると美味しい あとこんな物もある 醤油に柑橘類の果汁や他の調味料加えて味を整えたポン酢って代物だ」 「それ美味しいの?」 「北方には余り流れてないみたいだけど中央では今結構流行ってる 試しに試飲してみるか?」 「ええ… あら、程よい酸味じゃない」 「それで脂の乗った秋刀魚をさっぱりと頂くのが旨いんだ 奥さん両方どうだ?」 「私流行りものに弱いのよ 両方下さる」 「はい、毎度あり」 「商売上手なのね ウチの亭主にもこんな甲斐性があればね」 「ハハッ、また来てください」 「ちょっと店員さん、私にもさっきの奴頂戴」 「あ、はい承りました」 「・・・流石商人ですね 慣れてる」 客との応対を見ていて感嘆の言葉を漏らす康太だった 「主婦の口コミの力は恐ろしいからな 丁寧で誠実、そして話術巧みに勧めなければならない」 「はぁ・・・勉強になります」
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