《コエンド》

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僕はある日、一体のロボットに出会った。 ロボットの名前は『コエンド』。 コエンドは、全身がメタリックシルバーでコーティングされていて、かっこよくて、強くて、優しいロボットだった。 そして、皆の人気者だった。 コエンドは、小さなことでも、大きなことでも、どんな時でも人間のことを助けてくれた。 道端で急病になり困っている人がいると、その場に誰よりも早く駆けつけた。 街の交差点で交通事故が起こると、その場に誰よりも早く駆けつけた。 小学校の近くの公園でイジメられている子供がいたら、その場に誰よりも早く駆けつけた。 コエンドはいつだって、人を助ける為に一生懸命に頑張っていた。 人々は、そんなコエンドに、感謝の意と愛を持って接した。 そして、人々は、コエンドのことを、この世に一体だけの貴重で大切な人類の宝だと言った。 そんなコエンドに、僕は学校帰りに出会った。 その時コエンドは、町の代名詞となっている、『真っ直ぐで大きな橋』を眺めていた。 「コエンド、君はこんなところで何をしているの?」 僕は橋を眺めているコエンドに尋ねた。 「僕は、ここから見る夕日が好きなんだ。 橋の向こう側に沈んでいく夕日を見ていると、僕にもココロと呼ばれるものが宿っていることを確認できるんだ。」 そのように話すコエンドの表情は、僕には少し寂しそうに思えた。 だけど、その時にはそのことがあまり気にならなかった。 そして、僕は前々から思っていた純粋な気持ちをコエンドに伝えた。 「コエンド、君は皆に愛されているね。 僕はそんな君が羨ましいよ。 僕も君みたいに、誰からでも愛される存在になりたいなぁ…」 それに対し、コエンドはこのように答えた。 「ありがとう。 僕は、これからも皆が幸せでいれるように色々な事を頑張りたい。 それが僕の使命であり、喜びなのだから。 君が誰からでも愛される存在になりたいのであれば、君自身が全ての人を愛すればいいだけだよ。 そうすると、自然と君も全ての人から愛される存在になれるよ。」 僕の言葉に答えたコエンドだったが、その表情はやはりどこか寂しそうに思えた。 僕は、そんなコエンドを励ましたくてこう言った。 「僕は数いる平凡な人間の中の一人でしかない。 だけど、君は違う。 コエンド、君は世界に一体、とても貴重な存在なんだよ。 それは、世界中の誰もが認めていることなのだから。」
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