6588人が本棚に入れています
本棚に追加
「はーい!それじゃあ10時になったので出発しますよ~!皆さんついてきて下さいね~!」
役所のボランティアのお兄さんが拡声器で呼び掛け歩き始める。
集合場所は城趾公園。
此処からグルッと史跡を歩いて巡るらしい…
歩き始めて10分…
既に後悔をし始めた加奈…
「…なんか…坂とか激しいし…」
「そりゃそうだよ~。激しくなかったら、すぐお城に攻め込まれちゃうでしょ!」
姉よ…その情熱を何か他の物に注いでくれ…
「はい!お疲れ様です!此方が下河原門跡地です。」
お兄さんが拡声器で説明を始めた。
何てことはない。
ただの細い道。
「なかなか攻め入ることのできなかった旧幕軍でしたが、土方歳三の【新撰組、進めっ!】の指示で斎藤一が此方側から彼方へ突入していった、と言われています。」
お兄さんの口から【土方歳三】だけでなく【斎藤一】の名前が出た瞬間、姉が物凄い勢いで食い付く姿が目に入った。
(旦那さん…ドン引きなのが分かるわ…)
姉に気付かれないよう小さめに溜め息をつく。
最初のコメントを投稿しよう!