暁美パラドックス

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 * 蝉の鳴き声がやかましくなってくる頃、僕の記憶は荒川葉月というロリっ娘死神のきついビンタから始まった。 「アンタいつまでお姉さまの事でしょげてるのよっ!そんなにくよくよしたってお姉さまは返ってこないのよっ!!」 「・・・・・だって、」 「あぁあぁっ!鬱陶しいわねっ!!アンタはお姉さまが命を掛けて守った貴方の人生を不意にする気!?」 「・・・いや、そんな気は、無い、けど」 血も繋がっていないのによくも“お姉様お姉様”連呼出来るな。 「・・・・・悔しいのも、悲しいのも、虚しいのも分かるけどそろそろアンタも一歩前進しなさいよね」 死神さんがいなくなってから約8ヶ月ほど経った。 最初の頃は酷く落ち込んでいたけれど、この時期になれば世間話の一つや二つは出来るようになっていた。
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