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悲しそうな表情にしか私には見えない。
気になって仕方ない。
先輩達に言われた事。
約束した事。
そんなものは私の頭の中から掻き消されていた。
「…避けんなよ」
いつもより低いトーンで、苦しそうな俊の声は、静かな屋上に響く。
私はその言葉にハッとされる。
避けなきゃいけないんだ。
思い出させられる。
本当に言いたい事を言いたい。
でも…先輩達が……
「避けてない。」
怖いの。
"ごめんね"を心の中で呟き、俊の横をすり抜けて教室へ向かった。
グッと堪えた涙は今にもでそうで、鼻の奥がツーンと痛くなる。
このちょっとの時間を先輩には見られていないはずだ。
私はそう心の内に祈る。
でも、その祈りは、はかなく散った。
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