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「………」
そして、ここで一人の召使が密かに動いて王間から消えた。
あの黄色の召使が…
バンッ!!
「失礼しますっ!」
また一人の兵士がやって来た。
「城が住人達に囲まれました!」
「なにっ!?」
そこにいた兵士や使用人達はザワザワと騒ぎ出した。
「もう逃げれないのか!?」
「いえ、まだ道はありま…
…え……リン王女は…?」
「…? そこにいる…
………!?!?」
王女はいつの間にかそこからいなくなっていた。
ずっと座っていたイスには形跡も残っていない。
「…あの王女…
俺達までも見捨てたのか?」
「いや、あれでも王女。
先に逃げてもらった方が良かったのかもしれん。」
「じゃあ、私達も急いでここから逃げましょう!」
「急げ!早く地下の抜け道に行くんだっ!!!!」
ドドドドッ…と、走り音を立てて兵士と使用人達は瞬く間に王間から姿を消した。
――――――――――――
そして、その数分後…
コツ…コツ…コツ…コツ…と王女のお気に入りの靴の足音が王間に響いた。
「…みんな…逃げたのね…
…もういいわ…」
その者は一人、イスに座りずっと無表情でいた。
しばらくするとダダダダダ…と何十人…いや、何百人の足音が耳に響いてきた。
バンッ!!
ドアを開かれたのではなく蹴り倒された。
「王女はどこだっ!?」
赤い鎧をまとった女剣士が叫ぶ。
多分、この反乱のリーダーだろう。
しかし、イスに座っているその者を見るとフッ…と、あざ笑うかのようにその者を見た。
「これはこれは王女様。
お一人で何をなさって?」
その者は何も答えない。
ただどこか遠くを見ているようなそんな目でジッとしていた。
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