麻痺

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しばらくボーとテレビを眺めた。 ふとフローリングを見ると、血は既にドロドロと凝固しつつあった。 指でなぞるとフローリングが顔を出した。 なぁんだ… つまらない… 由香は同じところにまたカミソリを入れた。 血が噴き出す。 すぐに止まるはずの血は、押さえても止まらず、噴き出すのが収まっても流れ続けた。 骨らしきものが見えた。 流れ出る血液が邪魔で、それが何かを確認できなかった。 指が痺れてきたから動かすと痛くて、我慢して力を入れても、指は痙攣するだけだった。 明日には治るかなぁ… 段々寒くなってきた。 冬になるのかな。 由香はなんとなく、首にカミソリを入れてみた。 ちっとも痛くない。 三回カミソリを入れたらまた血が噴き出した。 綺麗にフローリングに流したかったのに… 寒い… 寒い… 由香はエアコンのスイッチを震える手で暖房に切り替え、強めに設定した。 寒い… 寒い… 毛布にスッポリと包まると昔のことを思い出す。 ああ、いつだって私は一人だったんだ…
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