ゴミ

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「痛いぃっ!!! うわぁぁぁあああん!! 痛いよおっ!! 痛いよぉぉおっ!!」 由香は部屋の扉に足の指を挟んでうずくまった。 「ママぁ!! うわぁぁぁんっ!!」 「ううっ… ひっく…、ひっく… ううぅうぅ… ぐすっ ぐすっ」 あまりに痛くて由香は起き上がれずに、床にしばらく丸まっていた。 足先を見ると、指から血がいっぱい出ていて、もっと痛くなった。 由香の小さな足の、小さな小指と、小さな薬指の小さな爪は、剥がれて血が出ていた。 「痛いよぉ… 切れちゃったよぉ 痛い痛いしたぁ… ぐすっ」 ママが来てくれないことを知ってたので、指にティッシュを巻いた。 巻いてもママみたくクルクル上手にできなくて、部屋をコロコロ掃除するやつでティッシュを貼付けた。 何回も何回もやったけどうまくいかなくて、ティッシュが指にくっついた。 「ママぁ 早く帰ってきてよぉぉお うわぁぁああん!!」 足が痛いから、動かないでタオルとテレビのリモコンを握って、また毛布にくるまった。 毎日毎日フローリングで寝てる体は、右を向いても左を向いてももう痛かった。 今日もママはこない… 由香は夜の闇から逃げるかのように眠った。 深く深く。 泣き疲れた体で。
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