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お腹空いた
お腹空いた
お腹空いた
パンが食べたいな
冷蔵庫を開けたら、ヌルヌルした胡瓜があった。
食べたら臭くてオエッてなったから捨てた。
捨てたついでにゴミ箱を全部出してみたけど、何もなかった。
お腹…空いたな。
由香はお腹が空いて、歯が痛くて、寒くて、毛布にくるまった。
それでも冬になろうとしている雪国の寒さは、毛布なんかでしのげない。
「由香ジャンバ持ってこよっと!!」
ジャンパーを着て毛布に包まる。
空腹と歯の痛みと寒さと寂しさと恐怖は、まだ四歳になったばかりの由香から睡魔さえ遠ざけた。
洗面台から注いできた水で口を濡らすと、ひたすらに毛布にしがみつく。
テレビの光だけが由香の周りを明るく照らしていた。
何度目かの真夜中。
大声で泣き叫んだ。
何で泣いてるのかもわからずに、誰に泣いてるのかもわからずに。
初めて力の限り、幼い由香には理解できるはずもない絶望に平伏し、ひたすらに泣いた。
壊れた車みたいに。
力尽きて眠るまで…
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