ひとりぼっち

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由香は流れる血を見ていた。 携帯を握り締めて、誰かに電話しようとした。 誰も思い付かない。 こんな時にかけて話してくれるのは、受け止めてくれるのは… ああ、そんな人私には一人だっていない。 【あ】行から順番に検索しても、かける人はいない。 助けてほしい訳じゃない。 気付いてほしい訳じゃない。 何で誰かにかけたいのかも解らない。 孤独感は今一人だからくるわけじゃない。 私がここに居ることを誰か知っていてほしい。 電車の中で、コンビニのレジで、スクランブル交差点で、路地裏の真ん中で、今私が居ることを見てほしかった。 悩むことを悩むときも、私の叫びも、私の嘆きも今まで誰に話せただろう… 踏みにじる以外に、何をしてくれただろう。 笑顔の中に、優しい言葉に何を隠しているのだろう。 私には分かる。 言うほどみんな私を好きじゃないし、見せるほどみんないい人じゃない。 仲良く話してる時も、いいことを言ってる時も、一瞬でも目を離すと、あなた達は口元を緩め鼻で笑い、視線からは嫌悪感を感じる。 一瞬でもその場からいなくなると、悪口を言ってるんでしょ。 どうして… もうやめて… どうしたら… 私はいつだってひとりぼっちだ。
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