いらない子

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由香が目覚めると、部屋の中は明るかった。 テレビは真っ黒な画面になっていた。 「ママ?ママ?」 どんなに探してもママはいなかった。 お腹が空いたから、テーブルのお菓子を食べた。 パンツもちょっと汚れちゃったから着替えた。 ママ… 玄関に行ったけど、ママは来なくて、呼んでも呼んでも来なくて、由香は泣いた。 泣いて泣いて泣いて眠った。 目が覚めて、外が暗くてまた泣いた。 怖かった。何が怖いのかなんてわからないけど、怖くて、いつもより怖くて、また布団を被ってた。 静かなテレビが恐くて、ママがいつもやるテレビのピッピを頑張ってピッピってやったらテレビが写った。 少し淋しくなくなって、お人形さんとお話しながらテレビを見た。 階段の音がしたから玄関に走ったけど、ママじゃなくて、また怖くなって布団に走った。 もう顔が痛い。 泣きすぎた由香の顔は涙が渇いて皮膚がひきつって、目鼻は赤くなり腫れていた。
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