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夏風邪。(2006.07.27)
風邪をひいた。
本当にクーラーは怖い。
お袋が、あんた、クーラーだけには気をつけなさいよ、と言っていたが、僕のうちにきた最新型のクーラーはどうみてもそんなにひどく見えなかった。
最初、クーラーがうちに来たときは、みんなはあぁ言ってたけど、実際会ってみると、そんなに冷たくもみえないし、これで案外いいやつなんじゃねぇかなぁ。なんて思っていた。
彼女は自分から僕に話しかけてきたりはしなかったし、僕にしたって、まだ警戒心をとけずにいた。
でもいつだって彼女を近くに感じることができたし、彼女の一見冷たい態度にも、思いやりや優しさを感じることができた。
そういえば、電気屋さんも、クーラーと仲良くなりすぎちゃいけない、なんて言ってたなぁ。
具合が少しでもわるくなったら、すぐにでも、機械タイプへの変換ボタンを押さなきゃ駄目って。
クーラーはそういう電気屋を悲しそうにみてたっけ。
それでも、彼女と一緒にずっといたかったのになぁ。
たとえ、冷たくなりすぎて、永遠に目を覚ませなくなったとしても、それが悪いこととはどうしても思えなかった。
僕は忘れないよ。
彼女が涙を浮かべて、でも笑いながら自分についたボタンを押して、壁についたただの機械にかわったのを。
夏がはじまります。
2006.07.27
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