三度目

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お母さんは泣いていた 最期の最期で私の所に来てくれたんだからって お兄ちゃんがどうなるか解らないから弟も呼んでって お兄ちゃんの手を握ってあげてって だけど私はその時悔しさと憤りだけで兄の手を握ってやれなかった。 温かい兄の手を。 ICUで父も母も泣いていた 泣いて兄に縋り付いていた。 その場を見た私は泣かないと決めていたのに 涙を流さぬよう 堪えて必死だった。 大嫌いだった兄でも こんな風になって しまったら 涙が出てしまうのだ。 やっぱり兄妹なんだって思った。
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