日の当たるやけに明るい場所

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 やけに明るい朝だと思った。目を開けるには辛すぎるくらいだ。しばらくしてようやく光に慣れてきた目を開けて寝ていたベッドの横にある目覚まし時計を見ると、成る程11時15分だ。ただでさえ働きの悪い頭を寝起きの中で働かせ、今日が平日であることを思い出し、高校に遅刻どころではないことを理解し、ついでに夢の内容も忘れとく。こんな時間だ、家族もみんな出掛けただろうと考える。その間わずか10秒くらいだろうか。自分のシチュエーションを確認した上で、今日は学校に行かないことに決めた。しばらく窓から漏れる光をベッドから上半身を出してボーッと見つめる。判断を一つ下したせいか、体の機能が目覚めるどころかどんどんほどけていくみたいだった。  少し孤独を感じるくらいまでボーッとした後、彼女に電話をかけることにした。ベッドから出る、携帯電話、電話帳、ナツコ。 「もしもし」 「どうしたの?今日学校来てないよね?風邪?」 「いや、健全だよ。なんならいつもより。休み時間いつまで?」 「後5分くらい。寝坊したのね?」 「なあ、今からデートしないか?」 「んで、まだ起きてないのね」 「起きてるよ。本気だし」 「起きてるならただのバカよ」 「ただのバカで結構。ただの才能よりは救いがありそうな気がするし…それで、デートはどう?うーん、例えば映画とかみたいな。バカみたいに壮大なSFとか、3Dで飛び出してくるようなやつ。見たかったんだ。それで終わったらスタバ行って、静かな喧騒の中で不真面目に感想言い合うの、向かい合ってさ。どうかな?」 「…」 「…」 「…ねえ、言っとくけどデートなんかする気はないし、それに今この時間、あなた以外はみんなここにいるんだよ?」 「…」 「学校来たら?」 「…いや、いいよ。声が聞けて嬉しかった。ありがとう。あと邪魔してごめん。じゃあ」  あなた以外みんなここにいる。電話帳、ナツコの先で彼女はそう言った。確かに僕はここにいる。携帯で話し合った二人はどこにいたんだろうね。頭を振る。それでも機能は緩んだままだ。家族はとっくに出掛けてしまったろう。デートはキャンセルだ。僕はここにいる。なあ、みんなどこにいるんだ?
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