4人が本棚に入れています
本棚に追加
そう、ここには二人しかいない。青空、太陽の光が宇宙の黒さをコーディネートしている。そんな柔らかな陽射しの下、どこまでも草原、湖、木。そこに、草の繁った丘があり、ログハウスがある。その中に僕達は居た。窓から差し込む陽の光だけが頼りの明るさ。君が微笑む。その白い歯に少しだけ光が反射する。
君の首を締めたとき、君は僕の輪郭を震える手で優しくなぞった。微笑み、覗いた白い歯、少し冷たい体温。たぶんだけど、その時だけ愛してくれた。まどろむ中の、ほんの一瞬だけ君には綺麗なものが見えたのだろう。
気付くと、僕の足元で君は仰向けに倒れていた、安らかに微笑んだまま。
どちらが死んでもよかった。でもどちらかと言えば君が少しだけ僕より先に死にたくて、僕が少しだけ君を殺してしまいたい気持ちが強かっただけだ。だから、とても自然なことだった。僕しか殺せる人がいなかったし。そして、何より…
そこで目が覚めた。
やけに明るい朝だと思った。
最初のコメントを投稿しよう!