愛犬は逃げ出した

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小声で何か言っていた。 「聞こえない、もっと大きな声で、いたっ。」 また、頭をはたかれた。 「こっちに来い。」 路地裏の方へと引っ張られて行く。 「あんなに目立って何考えてる。 お前は仕事は自分の仕事を理解してるのか。」 「仕方が無かったんだ。 犬が、犬があんな事になるなんて。」 「べつに何にもされて無かったろうが。 お前は、秘密工作員の自覚があるのか。」 「そのアルバイトだし、まあ、いいかなって。」 「良くない。 お前の一挙一動が国の命運を左右するかもしれないんだぞ。」 「大怪我な事をまたまたぁ。 そうだ、それより、俺のパピー知らないか。」 上司は形のいい唇を小さく開いた、ため息をついたかもしれない。 「あの犬か、知らないが、こっちで探してやろう。 だから、今回の任務を。」 「嫌だね、俺が探す。」 「良く考えろ、お前が一人で探すのと、こちらの情報部で捜索するのはどちらが早いか。」
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