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タイキは我が目を疑った。
だがそれは間違いなくそこに存在している。
漆黒のなめらかな体毛、鋭い棘の生えた尻尾と前足についた冷たい輝きを宿す刃、そして紅く怪しく光る目。
「ナ…ナルガ…クルガ…?」タイキは驚いた。
(ナルガクルガは普通樹海みたいな木々の生いしげった場所にいるはずなのに…それがなぜ砂漠に?………いやそんなことどうでもいい、とにかく……『逃げないと!』)
タイキは地底湖の出口に向かって走り出そうとした。
しかし3歩も進まないうちに回り込まれる。
「な…速い!?」
次の瞬間、タイキの身体はナルガクルガの尻尾になきはらわれていた。
「グハッ…。」あまりの衝撃に息が止まる。
何とか立ち上がろうとするが足に力が入らない。
ナルガクルガはタイキとの距離をジリ…ジリ…と詰めてくる。
タイキの足は死の恐怖に震えている。
ナルガクルガはタイキに狙いを定め飛びかかる体制に入る。
(俺は…俺はこんなところで死ぬのか?)
タイキは絶望を感じた。
次の瞬間ナルガクルガは前足の刃を振りかざしながら飛びかかってきた。
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