390人が本棚に入れています
本棚に追加
その後
信秀をなだめた信長は、まだ日が中天に昇るまでに、臣下の前田利家、丹羽長秀を呼び出し、先ほど誘宵に用意させた筒銃五千丁を各々の隊に持たせた。
「利家……あとお前の隊の精鋭に駕籠を持たせてくれ。
長秀は足周りが早い馬で、先に登城する文を稲葉山城持っていってくれ。
あと夕刻までには着くと……」
と懐にしまってあった文を長秀に渡した。
「あと利、お前の狩猟に使う服装を貸してもらえるか?」
「なんでだ?
何かに使うのかあにぃ?」
「ん?
着ていくんだ美濃登城までの道のりで……」
利家はまったくわからなかった。
利家は後世に伝えられる歌舞伎者“前田慶次郎“とは違う形で派手好きであった。
正装の礼服の烏帽子を外して直参したり、信秀の前でも、狩猟と全く同じ服で謁見していた。
故にこれから美濃に赴くという時に、狩猟の山賊の様な服を、着ていくと言うのが利家にはわからなかった。
しかしあの信長の考え、自身もその謀により信長の前に敗れ去ったのだ、意味のない事をするはずはないであろうと、利家は心の中で納得した。
最初のコメントを投稿しよう!