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…ギシッ
…ん、…なんだろ?
唇にふわふわした感触が…。
…ン…甘い…匂いが…。
あ…離れちゃう
待って…もう少し…
Ppppppppp.....
目覚まし時計の音にガバッと飛び起きると、思わず唇を指でなぞる。
「い…今のって……」
夢にしては感覚が妙にリアルだった。
「…ってぇ!!遅刻しちゃうっ!!」
急いで制服に着替えるとリビングに駆け込む。
「おっせぇーよ!寝過ぎだっ!!この万年寝太郎がっ!!」
「ムッ…なぁに偉そうに言ってんのよっ!!人ン家でばっか朝ご飯食べてるくせにっ!!バカ蒼」
「コラコラ二人とも…、早く食べないと遅刻しちゃうよ?」
「け、慧ちゃん!?あ、あの慧ちゃんは違うよ??蒼に言ったみたいな事思ってないからね??」
「…クスッ、分かってるよ」
隣に住んでる幼なじみ。
慧ちゃんと蒼はご両親が共働きなので小さい頃からうちで朝ご飯を食べるのが日課になっている。
慧ちゃんは社会人1年生の22歳、蒼は私と同じ高校2年生の17歳だ。
「アラ?やっと起きたの??ゴメンね~二人とも。いつも起こして貰って…」
ママがキッチンからピョコっと顔を出す。
「え?今日は私一人で…」
二人の顔を交互に見比べる。
「…起こしたけど、…起きないから」
プイッとそっぽを向く蒼。
「…蒼が起こしに行ったけど起きないから、僕も起こしに行ったんだけど、あんまり幸せそうな顔してるから」
慧ちゃんは優しく笑うと手で『ゴメンね』と合図する。
…二人とも、部屋に来たの?
じゃあ、今朝のって…、
ハハッ…まさか、ね。
ゆっくりと唇を指でなぞる。
「じゃあママさん、今日も美味しかったです。ご馳走様でした。…ほら、蒼」
「…ごっそさんした」
ボーっとしていると、慧ちゃんも蒼が席を立つ。
「あっ!ま、待ってよぉ」
「ハイ、いってらっしゃい!気をつけなさいね~」
「「「行ってきまーす」」」
玄関で見送るママに手を振って私たちはいつものように家を出た。
二人の背中を見ながら考える。
アレは、夢……、だよね?
でも…夢じゃなかったら――
『キスしたのはどっち?』
KEI or SOU
――ARE YOU READY?
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