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「会ったばっかりだけど…好きです。あの時、そう言いたかった。」
「ボ、僕は男だよ?」
キミは目をまんまるくして言った。
「キミが男でも女でも、好きになっちゃったものはしょうがないじゃん。」
キミは左手を握り締めると自分の胸に当てた。
「どうしたの?」
って聞いたら、
「この1年間、ずっと迷ってたことをあっさり言われちゃった。」
って言った。
ポツリポツリと話し始めたキミ。
目にゴミが入り、それを取ってもらって目が合い、ジッと見つめているうちに一瞬にして自分の中に沸き起こった感情に戸惑ったのだという。
逃げるのが好きじゃないはずの自分が、その場から逃げてしまったという事実も合わさって、どうしていいのか分からずにいたのだと…。
日が経つにつれ、自分の中に沸き起こった感情が次第にはっきりとしてきて…。
だけど、たった一日の…しかもほんの数十分、話しただけの相手にこんな感情を持つなんてあり得ないと思った、と…。
それでもやっぱり伝えないといけないような気がして、そこでようやく、名前も住所もましてや携帯電話番号もメアドも何も聞いていなかったことに気づいたのだという。
伝える手段がないままで、季節が変わっていったのだと…。
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